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2年ほど前、田舎に住んでいた祖母が亡くなった。父が長男なので、当然のように祖母の身の回りの整理は父が中心になって進めることになった。それを横で見ていて、ふと気づいた。自分も長男だ。父が今やっていることは、いずれ自分がやることになる。田舎の山林や畑と同じで、墓もいつかは誰かが向き合わないといけない話だ。まだ何も決まっていない。ただ、墓じまいの費用相場だけでも先に知っておきたくて調べてみた。
実家じまいや、父の田舎にある山林・畑の承継については以前の記事でも触れた。しかし、墓はそれらとは少し性質が違う。土地は放置しても固定資産税を払い続ければとりあえず存続する。一方で墓は、管理する人がいなくなると「無縁墓」として撤去の対象になってしまう。期限がある分、後回しにしにくい部分だと感じている。
墓じまいとは何をすること?
墓じまいとは、今ある墓を解体・撤去して更地に戻すことだ。そして、墓地の区画を管理者(お寺や霊園)に返す。中に納まっていた遺骨は、別の場所に移す。この「移す」手続きを法律上は改葬と呼ぶ。つまり、単に墓石を壊すだけの話ではない。遺骨をどこにどう移すかまでセットで考える必要がある。
そもそもなぜ墓じまいをするのか。理由は家庭によって様々だ。多いのは「遠方に住んでいて管理に通えない」「継ぐ人がいない、または継ぐ人に負担をかけたくない」というパターンだ。少子化と人口の都市集中が進む以上、今後も増えていく話だろう。
墓じまいの費用相場は?
墓じまいの費用は、墓石の大きさや基礎の作りで変わる。区画の立地(重機が入れるかどうか)でも大きく変わる。一般的に言われる相場は、閉眼供養(魂抜き)のお布施が3万〜5万円程度だ。墓石の解体・撤去と整地の工事費は、20万〜50万円程度とされることが多い。合計すると数十万円規模になるケースが目立つ。
ただ、この工事費は業者によって差が出やすい部分でもある。1社だけで決めず、複数社から見積もりを取って比較するだけでも、感覚的にはかなり金額が変わってくるらしい。
ここに、お寺との関係次第では「離檀料」が発生することもある。離檀料には法的な支払い義務はない。しかし、長年お世話になったお寺との関係を考えて、慣習的に包むケースがあるという話は覚えておいたほうがいい。金額はお寺により様々で、一律の相場は存在しない。
手続きの大まかな流れ
役所への届け出が絡む点が、墓じまいを面倒に感じさせる理由のひとつだと思う。大まかには次のような順番になる。
- 今の墓地の管理者から「埋蔵証明書」を発行してもらう
- 遺骨の新しい移動先を決め、そこから「受入証明書」をもらう
- 今の墓地がある市区町村役場に「改葬許可申請」を出し、「改葬許可証」を受け取る
- 閉眼供養を行い、墓石を解体・撤去、区画を更地にして返還
- 改葬許可証を新しい納骨先に提出し、遺骨を移す
役所ごとに様式や必要書類が微妙に違う。そのため、実際に動く段階では該当の役所と霊園・お寺の両方に確認するのが確実だ。参考までに、長野市の改葬許可申請の案内では必要書類や申請から許可証交付までの期間(約1週間)が具体的に書かれていた。ただし、書式や必要書類は自治体で異なる。実際の手続きは、お墓がある市区町村に確認したほうがいい。
遺骨をどこに移すか、2つの選択肢
墓じまい後の遺骨の行き先は、永代供養墓や樹木葬などいくつかある。ここでは「墓を持たない」方向の2つの選択肢を紹介したい。
送骨という方法
「送骨」は、遺骨を専用の梱包キットで郵送する方法だ。寺院での合同供養や永代供養につなげてもらう仕組みになっている。現地に足を運ぶ手間が減る。そのため、遠方に住んでいる場合や、通える範囲に頼れる先がない場合に選ばれやすい。
自宅で手元供養する方法
墓自体を持たず、遺骨の一部を自宅に置いて手を合わせる「手元供養」も選択肢のひとつだ。仏壇のように場所を取らない、ガラス製のコンパクトな供養墓が出ているのを見つけた。実家の仏間が今後どうなるか分からない、という家庭には合うかもしれない。
送骨と手元供養、どちらが向いている?
送骨は「距離」の問題を解決する手段だと思う。実家の墓が遠方にあって通えない、供養はしたいが定期的に足を運ぶのは現実的でない、という場合に向く。ただし、合同供養という形になる。個別の墓参りという感覚とは少し違ってくる点は事前に理解しておいたほうがいい。
一方の手元供養は「距離」ではなく「気持ちの区切り」の問題に向いている気がする。墓じまいをしても、すぐには「もう手放した」と割り切れない場合がある。そのようなとき、遺骨の一部を自宅に置いておけることで気持ちの整理がつきやすい、という声を見かけた。ガラス製の供養墓であれば見た目も控えめだ。普段の生活空間に置いても違和感が少ないタイプが多い。
どちらか一方を選ぶ必要はない。遺骨を分けて「一部は送骨、一部は手元供養」という組み合わせにする家庭もあるようだ。
まず何から手をつけるか
いきなり業者に見積もりを頼む前に、うちの場合は次の順番で情報を整理しようと考えている。
- 今の墓地の管理者(お寺・霊園)に連絡し、埋蔵証明書の発行方法と、離檀に関する考え方を確認する
- 遺骨の移し先(永代供養墓・送骨・手元供養など)の候補を複数比較する
- 費用感がつかめた段階で、きょうだいや親戚に一度相談の場を持つ
この3つを済ませてから、初めて役所への改葬許可申請に進む。それが現実的な流れだと感じている。
親族間で揉めやすいポイント
費用や手続きより先に、親族間の合意のほうが難しいという話をよく見かける。なぜなら、墓は「継ぐ人」だけの持ち物ではないからだ。他のきょうだいや親戚も、心情的な当事者であることが多い。特に、先に相談せず話を進めてしまうと、後になって「なぜ勝手に決めたのか」という揉め方をするケースがあるらしい。うちはまだ何も決めていない段階だ。ただ、動くとしたら早めに親族へ話を通しておきたいと思っている。
費用は誰が払うのか
墓じまいの費用は、法律で「誰が払うべき」と決まっているわけではない。実際には、墓を継いだ人(祭祀承継者)が中心になって払うケースが多いようだ。ただ、数十万円をひとりで抱えるのは負担が大きい。きょうだいで按分する、他の親族にも声をかけて分担するなど、事前に話し合っておいたほうが後々の関係もこじれにくいと思う。なお、相続財産とは別の話になる。遺産分割協議とは切り分けて考える必要がある点も注意したい。
墓じまいの費用相場、知っておいてよかったこと
墓じまいの費用相場は、規模や地域で数十万円単位の幅がある。費用も手続きも、そして親族間の調整も含めて、思ったより手間のかかる話だった。今すぐどうこうする予定はない。ただ、いずれ向き合うことになるのは分かっているので、選択肢を知っておくだけでも気持ちが楽になった気がする。たとえば送骨や手元供養のように、墓を持たない形も含めて選べる時代になっている。
よくある質問
Q. 墓じまいをすると遺骨は必ず別の墓に移さないといけない?
A. 必ずしも新しい「墓」である必要はない。永代供養墓、樹木葬、送骨による合同供養、手元供養など、移し先の形は複数ある。改葬許可の手続き上、どこかへの受け入れ先は必要になる。
Q. 離檀料を払わないとトラブルになる?
A. 離檀料の支払いに法的な義務はない。ただし、お寺との今後の関係や親族の心情を考えて、話し合いで折り合いをつけるケースが多いようだ。
Q. 墓じまいの費用を安く抑える方法はある?
A. 墓石の解体・撤去は複数の業者から見積もりを取ることで差が出やすい部分だ。また、送骨や手元供養のように新しい墓を建てない選択をすれば、その分の費用は発生しない。
Q. 費用はきょうだいで折半するしかない?
A. 法律上の決まりはない。割合は話し合い次第だ。均等に分ける家庭もあれば、祭祀承継者が多めに負担し、他は気持ち程度という家庭もある。決め方より先に「話し合う場を作ること」自体が大事だと感じている。




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