解体工事の費用相場|木造30坪はいくら?追加費用と手続きの注意点

解体工事の費用相場を調べる前に知っておきたい、重機で解体中の木造住宅 終活・実家じまい

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不動産の営業をしていた頃、建物の解体費用は「だいたい100万円くらい」という感覚だった。大阪市内の物件が中心で、20坪くらいの家が多かった記憶がある。ただし15〜18年ほど前の話で、今の相場は分からない。家の大きさや場所でも変わるので、あくまで当時の仕事で見聞きした範囲の話だ。自分で解体工事を発注したことはないが、実家や空き家の話が身近になってきたので、今の解体工事の費用相場を公開されている情報で整理し直してみた。

先に結論を書いておく。解体工事の費用相場は、木造住宅でも坪単価の目安に延べ床面積を掛けるだけでは総額が読めない。アスベスト調査、残置物の処分、庭木やブロック塀の撤去といった「別枠の費用」で、見積もりが大きく動くからだ。

解体工事の費用相場は、構造と広さでざっくり決まる

複数の解説サイトでよく見かける、建物の構造別の坪単価の目安は次のとおり。

構造 坪単価の目安
木造 3万〜5万円
鉄骨造 4万〜7万円
鉄筋コンクリート(RC)造 6万〜8万円

木造の一戸建てなら、30坪で90万〜150万円ほどの計算になる。付帯工事や諸経費まで含めた総額では、30坪の木造で120万〜180万円前後と書いている解説が多い。古い家の解体は100万〜200万円の価格帯が一番多い、という情報もある。20坪なら坪単価の目安で60万〜100万円になる計算だ。冒頭に書いた「100万円くらい」は15年以上前の記憶なので、今の金額と同じとは限らないが、桁が大きく違うわけではなさそうに見える。

ただし、これはあくまで目安だ。実際の金額は現地を見てもらった見積もりでしか分からない。

見積もりに入っている費用の中身

解体の見積書は、大きく分けて次の4つで構成されていることが多い。

  • 建物の解体費用:重機や職人の手間賃。坪単価の目安は、ほぼここの金額
  • 廃棄物の処理費用:解体で出た木くず・コンクリート・金属などの運搬と処分
  • 付帯工事の費用:庭木、ブロック塀、土間コンクリート、カーポートなどの撤去と、更地にならす整地
  • 諸経費:重機の回送費(木造一戸建てで3万〜5万円ほどとされる)、近隣への挨拶、届出の手続きなど

見積書を見るときは、「一式」とだけ書かれた項目に注意したい。何にいくらかかっているのか分からないと、他社と比べようがない。

解体費用が高くなりやすいケース

同じ30坪の木造でも、金額が変わる理由は主にこのあたりだ。

  • 重機が入りにくい:道が狭い、隣の家との距離が近いと、手作業が増えて人件費がかさむ
  • 家の中に荷物が残っている:家具や家電、生活ごみが残っていると、別途処分費がかかる
  • 庭木・ブロック塀・物置が多い:付帯工事として別料金になる
  • アスベストを含む建材がある:調査や除去の費用が上乗せされる
  • 地中から古い基礎や浄化槽などが出てくる:解体を始めてから見つかり、追加費用になることがある

荷物の片付けについては、実家じまいの進め方の記事に、不用品回収の業者の選び方を書いている。解体の前に、家の中をどこまで自分たちで片付けるかを決めておくと、見積もりも取りやすい。

アスベストの事前調査は、今は必須

古い家の解体で気になるのが、アスベスト(石綿)だ。昔の建材に含まれていたことがある有害な繊維で、解体するときに飛び散ると健康被害につながる。

ルールは年々厳しくなっている。2023年10月1日から、解体工事の前の事前調査は、資格を持った人が行うことが義務になった。調査は工事の規模に関係なく必要で、床面積の合計が80㎡以上の解体では、調査結果の報告も必要とされている。アスベストが見つからなかった場合でも、報告は必要だ。

だから、見積もりの段階で確認したいのは次の2点だ。

  • 事前調査の費用が、見積もりに入っているか
  • 調査でアスベストが見つかった場合、除去の費用はどう扱うか

この2つが曖昧なまま契約すると、あとから「アスベストが出たので追加で◯万円」と言われやすい。詳しい制度は、環境省の「建物を壊すときにはどうしたら良いの?」のページや、工事をする自治体のページで確認できる。

解体の前後に必要な手続きと届出

解体は、工事を頼んで終わりではない。主な手続きは次のとおりだ。

建設リサイクル法の届出(床面積80㎡以上)

延べ床面積が80㎡以上の建物を解体する場合、建設リサイクル法にもとづく届出が必要になる。自治体の案内では、工事に着手する7日前までに提出することになっている。届出の窓口は自治体によって違うので、事前に確認しておきたい。

建物滅失登記(解体から1か月以内)

建物を解体したら、登記簿からもその建物をなくす手続きが要る。これが「建物滅失登記」だ。不動産登記法では、建物がなくなった日から1か月以内に申請することになっている。申請するのは建物の所有者で、自分でも、土地家屋調査士に頼んでもできる。手続きの案内は法務局の「建物を取り壊した/建物を新築した」のページにまとまっている。

この登記を放置すると、すでにない建物に固定資産税がかかり続けたり、あとで土地を売るときに手間取ったりする可能性がある。解体業者に「滅失登記の案内はあるか」を聞いておくと、うっかり忘れずに済む。

解体すると、固定資産税が上がることがある

費用以外で見落としがちなのが、税金だ。

家が建っている土地には、「住宅用地の特例」という軽減措置がある。たとえば200㎡以下の部分は、固定資産税の評価額が6分の1になる。ところが、家を解体して更地にすると、この特例が使えなくなる。つまり、解体した翌年度から、土地の固定資産税が上がるのが原則だ。

固定資産税は、その年の1月1日時点の状態で課税される。解体するタイミングによって、税額が切り替わる年が変わる。解体の時期は、この点も含めて考えたい。

一方で、放置した空き家にもリスクがある。2023年12月に空家法(空き家対策の法律)が改正され、そのまま放っておくと特定空家になるおそれがある「管理不全空家」も、自治体から勧告を受けると、住宅用地の特例が外れることになった。ただ、この運用は自治体によって違いがあるようだ。解体するか、持ち続けるかで税金の負担が変わるので、お住まいの市区町村の固定資産税の窓口で、事前に確認してほしい。

解体の補助金は、工事の前に申請する

自治体によっては、老朽化した空き家の解体に補助金を出している。補助率や上限額は自治体ごとにかなり差があり、条件も違う。よくある条件は、次のようなものだ。

  • 工事を始める前に申請して、交付決定を受けること(先に着工すると対象外)
  • 税金や公共料金の滞納がないこと
  • 予算の上限に達すると、年度の途中でも受付が終わること

解体業者に契約を決める前に、市区町村の窓口に「空き家の解体に補助金はありますか」と聞くのが先だ。契約や着工を先にしてしまうと、補助金が受けられなくなる。

解体の見積もりは、複数社で比べる

解体工事の費用相場は、構造や広さだけでなく、現場の条件や業者によっても変わる。同じ家でも、業者によって数十万円の差が出ることがある。だから、見積もりは1社で決めずに、複数社から取るのが基本だ。

見積書を並べて比べるときは、次の点を見るといい。

  • 建物の解体費用と、付帯工事・廃棄物処理・諸経費が分けて書かれているか
  • アスベスト事前調査の費用が含まれているか
  • 残置物の処分費が含まれているか、別料金か
  • 追加費用が発生する条件が、見積書か契約書に書かれているか
  • 建設リサイクル法の届出や、滅失登記の案内があるか

1社ずつ電話して現地調査の日程を合わせるのは手間がかかる。複数の解体業者の見積もりを、まとめて比較できるサービスもある。たとえば解体工事比較ナビがある。申し込む前に、対応エリアや条件は各サイトで確認してほしい。

売るために解体するか、古家付きのまま売るか

相続した家を売る場合は、更地にしてから売るか、建物を残したまま売るかで迷うことがある。解体費用を先に出す必要があるうえ、更地にすると前に書いた固定資産税の特例も外れる。反対に、古い家が残っていると買い手がつきにくいケースもある。

相続した空き家を売って使える「空き家の3,000万円特別控除」には、解体して更地で売る方法も含まれている。条件の細かい部分は、実家じまいの進め方の記事に国税庁のページへのリンクを載せているので、あわせて確認してほしい。どちらが得かは、地域や土地の条件で変わるので、解体の契約をする前に、不動産会社へ相談するのが安全だ。

よくある質問

Q. 解体費用は、坪数だけで決まりますか?
A. 決まらない。坪単価はあくまで目安で、アスベストの有無、残置物の量、庭木やブロック塀の撤去、重機が入れる道かどうかで総額が変わる。現地調査をしてもらった見積書で判断する必要がある。

Q. 解体の見積もりは、何社くらいから取ればいいですか?
A. 決まった数はないが、複数社から取って並べないと、高いのか安いのか判断しにくい。金額だけでなく、見積書の内訳が細かく書かれているかも見てほしい。

Q. 解体したあと、何か手続きは必要ですか?
A. 建物滅失登記が必要だ。建物がなくなった日から1か月以内に申請する決まりになっている。自分で申請する方法と、土地家屋調査士に頼む方法がある。

Q. 解体の補助金は、契約したあとでも申請できますか?
A. 多くの自治体では、工事の前に申請して交付決定を受けることが条件になっている。契約や着工が先だと、対象外になることがあるので、先に市区町村の窓口で確認してほしい。

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